2018年12月16日(日)、第7回基礎力養成講座を行いました。

 メインレクチャーは峰野博史先生(情報学部情報科学科)による「情報学入門-人工知能(AI)は植物と対話できるのか?」。峰野先生は情報学が専門であり、現在、農業分野でのIoTやAIの活用研究に取り組んでいます。

 講義は、まず、身の周りの様々なモノをインターネットにつなげること、大量のデータの取得と分析により、これまでよく分からなかった現象を見える化でき、何が起きているのか仮説を立てたり検証したりすることが可能になったことなど最近の情報科学の状況を俯瞰しました。そして、情報科学入門として、トマトの養液栽培で計測された様々なデータを眺めることで、「トマトがどのように成長していくのか?」を想像し、栽培システムにおける人工知能(AI)に何を学習させれば甘いトマトを栽培できるか、水やりを例に受講生とともに考えました。茎の太さや土中の水分量、また計測方法としては前回学んだTerahertz波の利用などの回答が出ました。AIが栽培した高糖度のトマトを試食しながら、多岐にわたる講義内容に受講生のAI活用に関する関心も高まったようです。

 午後はタイから来学した高校生4人、先生方2人(Science Classrooms in University-Affiliated School Project (SCIUS), Thammasat University)とFSSの受講生との Joint meeting (要旨集はこちら) を行いました。まず、それぞれの国や住んでいる町の自然や文化、高校生活などを紹介しました。研究交流においては今年のGSC全国受講生研究発表会で文部科学大臣賞を受賞した発展コース生の袴田彩仁くんの特別講義、その後、それぞれの取り組んでいる研究のポスター発表を行いました。終了後も、折り紙やけん玉など日本の伝統的な遊びを通して楽しい時間を過ごしました。

 Thammasat 大学へはこの夏、FSSの発展コース生4人が海外研修に出かけています。SCIUSの皆さんは、このJoint meetingに参加したほか、FSS受講生・タイ留学生がガイド役を務めた市内観光(15日)、ABP(Asia Bridge Program)の説明会(16日午前)、理学部・農学部の研究室訪問(17日午前)などを行い、帰国の途に着きました。

峯野博史先生の講義

峯野博史先生の講義

袴田彩仁くんの特別講義

袴田彩仁くんの特別講義

SCIUSのポスター発表

SCIUSのポスター発表

福笑いで交流

福笑いで交流

SCIUS-FSS 記念撮影

SCIUS-FSS 記念撮影

12月17日、SCIUSのキャンパスツアー

12月17日、SCIUSのキャンパスツアー

12月15日, SCIUSの市内観光

12月15日, SCIUSの市内観光

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 13:00-15:25 SCIUS-FSS Joint Meeting
   13:00-13:30 Welcome ceremony
   13:30-13:45 Special lecture A.Hakamada
   13:55-15:25 Poster Session
 (要旨集はこちら)
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<受講生の感想など(ニュースレター掲載分を含む)>

 身の周りの様々なモノをインターネットにつなげること、大量のデータの取得と分析により、これまでよく分からなかった現象を見える化でき、何が起きているのか仮説を立てたり検証したりすることが可能になったことなど最近の情報科学の状況を俯瞰しました。そして、情報科学入門として、トマトの養液栽培で計測された様々なデータを眺めることで、「トマトがどのように成長していくのか?」を想像し、栽培システムにおける人工知能(AI)に何を学習させれば甘いトマトを栽培できるか、水やりを例に受講生とともに考えました。

レポート課題『人工知能(AI)は植物と対話できるようになるか?』より

・・・湿度や水分量を感知するセンサーとAIを搭載したマイクロチップ、それからスピーカーを取り付けて地面に突き刺し、地中の水分量を検知するペン型の装置や、ある程度太い幹用の、幹にバンドを巻いて植物内の水分量を生体にダメージを与えづらいテラヘルツ波などで計測するバンド型の装置を作れるのではないか。・・・
(富士高校、A.Y.)

・・・先述のとおり対話は相手が理解することが前提となっている。AIが植物の求めていることを検知して、プログラムと合致した行動を一方的に行うのではなく、それによって植物が「満足」したかを確認する必要がある。つまり「計測→行動→確認」のサイクルが必要だと考える水を与えたのちの植物の様子を学習させ、水を与えるという行動の後に同様の状態にならない場合は別の対応が必要であるとAIが認識しなければならない。このサイクルが可能となれば植物との真の意味での対話ができると考えた。
(清水東高校 I.Y.)

・・・しかし、「対話」は不可能ではないと考えられる。例えば、絶滅危惧植物の保全、繁殖などに用いる場合だ。今、日本では、固有の植物の四分の一が絶滅の危機に瀕しているそうだ。植物の多様性を守ることは、人間と植物、どちらのメリットにもなる。人工知能の技術により、今、植物にどれだけよくないストレスがかかっているか、その植物がどういう環境で繁殖しやすいのかを調べ、実行することができれば、種の保全に大変役立つはずだ。人工知能を用いて、人類と植物の両方メリットになる活動を行うことで、さらに効率的に、より良い社会を作っていくことができるはずだ。・・・
(清水東高校 N.T.)

<対話の定義(植物とAI)>・植物とAIがある問題を解決するために行う話し合い。話し合いとは自主的な情報の交換とその分析のことで、人間のように音で伝達する必要はない。また、双方の視界に相手が入っている必要がある。情報を受け取ったら経験や知識も利用して論理的に考えることも対話の一部であり、感性をはたらかせる必要もある。日頃から対話といわれているような行為を参考にしながら定義した。まず、対話の仕組みについて考えた。AとBが対話するとき
図1
 ①Aが情報を発信→②Bが受信する→③Bがその内容を分析する
      ↑                   ↓         
 ⑥Aがその内容を分析←⑤Aが情報を受信←④Bが分析した情報を発信
このようなサイクルがあると思う(このときA,BはAIと植物)。
(静岡高校 S.D.)