2019年9月8日(日)、第4回基礎力養成講座を行いました。

今回は静岡科学館る・く・るの 谷 俊雄 先生による「科学コミュニケーション演習(科学技術と社会)」です。人類が社会を形成していくとき、課題解決のためにどのような科学や技術が必要となるのでしょうか。その過程で、科学コミュニケーションはどのような役割を担うのでしょうか。はじめに二人一組で道順を教える「おつかいゲーム」を行うことで相手の得ている情報を踏まえたコミュニケーションについて理解を深めました。つぎに6名のグループに分かれ「もし無人島にたどり着いたら」という課題に取り組みました。無人島にたどり着いた弥生時代の人類30名の1年後の生活についてグループ毎に討論し発表しました。最後は水素エネルギーを活用する政策を題材にその推進派3名、慎重派2名、全体の取り纏め役1名にさきほどと同じグループの構成員を役割り分担して同政策の構成要素(水素製造、水素輸送、水素貯蔵、エネルギー等供給、エネルギー等使用)を踏まえて検討しました。これらの演習を行うことで研究を進める上での技能あるいは社会と科学や技術を繋ぐ手段としての科学コミュニケーションについて理解を深めました。

ランチタイムでは第2期発展コース生13名の紹介とショートトークを行いました。

午後は、発展コース生によるポスター発表(中間発表)を行いました。第3期基礎力養成コース生は各自が興味をもった発表を聞くとともに発表者へ熱心に質問していました。

ポスター発表に続き、受講希望者を対象として英語表現セミナーを行いました。来月以降に予定されている英語による討論へ活かされることが期待されます。当日は台風の接近に伴う公共交通機関の運休等が危惧されたことから途中で帰宅を余儀なくされた受講生もいました。

科学コミュニケーション演習


科学コミュニケーション演習・グループ発表


ランチタイム・発展コース生ショートトーク


発展コース中間発表1


発展コース中間発表2


英語表現セミナー

<受講生の感想など(ニュースレター掲載分を含む)>

 今回の講義、科学的コミュニケーションでは自分の苦手なところを学ぶ一つの機会になったと思います。自分は話すことは好きですが人にうまく伝えるのが苦手です。今回のコミュニケーションでは思うように自分のことが伝えられませんでした。でもこれからは研究の発表ではうまく自分の思うことを時には英語で伝えなければいけません。また、自分と同じように伝えるのが苦手な人の質問に答えなければいけません。なので国語力と関係するような、「語彙力」を鍛えていきたいと思いました。

 今まで科学は、知識と技術がものを言い、いかに自分で頑張るかが重要であると思っていた。しかし、このワークショップを通じて、コミュニケーションが取れなければ、科学、もっと言えば、社会生活を送ることすら大変であり、その上、言葉だけで伝えることはとても難しいということがわかった。例えば、自分についていえば、頭の中に思い描いた考えを、それを知らない教授の先生にお伝えする際は、このワークショップで最初に行ったような過程を踏まなければないないということに気がつき、知識や技術以前に、コミュニケーション能力も磨く必要があると感じた。

 無人島のゲームから、何に関しても「今すぐ」ではなく「今後の長い目」をもって計画的に考える事の重要性を再認識した。このことは科学技術の発展にも言える事だ。例えばクローン技術等も、「今すぐ」という考えで技術発展を進めた結果、倫理の面での討論がなかなか進まないという状況で困っている。コミュニケーション、時間、技術発展、社会等、様々な事が複雑に絡む中での研究者の仕事はとても難しいものであると感じた。

 今回のワークショップを通して、エネルギーを中心に科学技術上の課題や社会の構造変化に目を向けてみると、今まで気づかなかったことに気づくことができた。例えば水素を使ったエネルギー開発では、環境にいいからといってメリットが多いわけではなく、私はデメリットの方が多く感じられた。世間に流されている一見便利な科学技術にも必ず悪い面があることを忘れないようにしたいと思った。また、今回知った科学を支えている「時間」ように、今の私たちの生活があるのも、研究ができるのも、今までに研究者や科学者が見つけ、積み上げてきた法則や研究があるからだと改めて感じた。
 元々地球にあるエネルギーは、太陽光または地球が作られたときに用意された化学エネルギーだけである。太陽光を起点として自然の様々なエネルギーが存在し、それらの変換効率をどう上げるか、どう貯蔵するかが今後の課題だと感じた。

 科学コミュニケーション演習のワークショップでまず、おつかいゲームを行った。おつかいゲームでは、相手と自分の持っている地図が微妙に違う中、言葉だけで相手に道を伝えなければならなかった。ここから、言葉だけで相手に物事を伝える力の無さ・難しさを知りまた、言葉以外のもの例えばジェスチャーなどの大切さを学ぶことができた。続いて行ったのは、無人島ゲームだ。ここでは、人によって、生きていくために絶対必要であるというものの価値観の差から、何度かの議論が生まれた。食料や水が大切だと私たちはまとまったが、他の班では、集落のようなものを作るなど、ヒトとの協力が必要や、王的な存在が必要だと言っていて、改めて人の考え方は様々だと実感した。最後の未来のエネルギーについてでは、水素をどのようにエネルギーとして普及させていくかという議論が行われた。各班で、注目する点が違く意見を聞くのはとても充実した時間だった。また、未来のことを考えるということで、思考力が高まった。