静岡発 テレビジョン技術のはじまり

2月5日まで、東京・上野にある国立科学博物館で特別展示会「テレビジョン技術のはじまりと発展」が開かれていました。この特別展示会、なんと静岡大学と国立科学博物館との共同企画展だったのです。でも、なぜ静岡大学なの?そのヒントは「日本のテレビの父」高柳健次郎にあります。

高柳健次郎は1899年静岡県浜名郡(現在の浜松市)に生まれ、東京高等工業学校附設工業教員養成所を卒業。1924年、浜松高等工業学校に赴任し、そこでテレビジョン研究を開始したのです。25歳での挑戦でした。そして2年後、日本で最初の撮像実験に成功したのです。

特別展示会で目を引いたのは、その撮像に使われた「イ」の字です。雲母の板に書かれた「イ」の字は小さいながら実に堂々としていて、偉大な発明を象徴するかのようです。また、高柳健次郎直筆の研究ノートも展示されています。エンジニアらしく、設計図や配線図が描かれています。他にも、開発に使われた光電管やテレビの試作品など貴重な歴史的な実物が展示。最新の8K超高精細映像を大型モニターで見ることができます。

浜松高等工業学校は戦後廃止され、静岡大学工学部として再出発します。高柳健次郎の精神を引き継いだ弟子等はそこを拠点として、日本の光工学・画像技術の研究を牽引していきました。特別展示会を見逃した方も、静岡大学浜松キャンパス内の「高柳記念未来技術創造館」の常設展示で見学できます。

傑出した発明家を育んだ静岡の地に生まれ育ったことを誇りにし、これからの未来技術を創造する若者がここ静岡の地から、特に静岡大学の学生やFSSの受講生から出ることを願ってやみません。皆さんも、一度、「高柳記念未来技術創造館」に足を運ばれてはいかがでしょうか。

高柳記念未来技術創造館
https://wwp.shizuoka.ac.jp/tmh/