2022年10月30日(日)基礎力養成コース第6回メインレクチャー、サブレクチャーを行いました。
2022年10月30日(日)、第6回としてメインレクチャー、サブレクチャーを対面形式とリモート形式のハイブリッドで行いました。
メインレクチャーは、理学部生物科学科の後藤寛貴先生が「姿が異なるオスとメス -クワガタムシから見る雌雄で異なる形態形成メカニズム-」というタイトルの講義を担当しました。
動物では多くの種で見た目に雌雄差があります。オスの方が大きなもの、体の色が派手なもの、角があるもの。逆にメスの方が大きな動物もいます。なぜ動物の形質に雌雄差があるのでしょうか。このような生物学における疑問への答え方には2通りあります。「メスとオスの繁殖戦略が異なり、雌雄それぞれでより多くの子孫が残せる形質を持つようになった」という答えは進化・生態学的理由であり、「究極要因」と言います。一方で、「オスとメスで成長期間や成長率が異なるため」という答えは発生学的理由であり、「至近要因」と言います。
今回の講義では、クワガタムシの「メスとオスが持っているゲノムがほとんど同じなのになぜ異なる姿になるのか」という問いに対して、至近的要因となる形成過程や物理化学的メカニズムを調べる研究が紹介されました。まず幼虫時の栄養状態が良い個体ほど幼若ホルモンの濃度が高いという傾向が分かりました。同時に、オスは栄養状態に応じて大顎が発達し、メスはあまり個体差が生じないという結果も得られました。また、オス型性決定遺伝子は大顎の成長を促進し、メス型性決定遺伝子は大顎の成長を抑制することもわかりました。これらの結果から、クワガタムシでは性決定遺伝子によるホルモン応答性制御の存在で極端な雌雄差が形成されていると結論付けることができました。
講義後の受講生からの質問は、大変に活発なものでした。「栄養状態が悪く、顎が小さなオスは子孫が残せないのか」「顎が大きいほどエサの獲得や繁殖に有利ならば、顎が巨大化する方向に進化するのか」など、全部で15人ほどが質問をしました。また、全講義の終了後、後藤先生の研究に興味を持った受講生数名が研究室を訪問しました。
サブレクチャーでは「プレゼンテーションの要点」として、教育学部の室伏春樹先生がプレゼンテーション用スライドづくりの方法を指導しました。
この講義の目標は、プレゼンテーションソフトを活用した相手に伝わる資料作りです。
作業は次のような順に進められました。①発表の原則を決める。②構成を決める。③伝達手段を決める。①の発表の原則とは、次のようなものです。配色、フォント、画面レイアウト。特に配色についてはWebで公開されている配色支援ツールが紹介され、これを活用して全てのスライドの配色を4色に統一するやり方を体験しました。②では、ストーリーの流れを文字にまとめた上で、話す内容を決めることが重要であることが強調されました。言語化することで、「分かっていたつもりなのに」という状況を無くすことができます。③では文字以外の伝達手段の特徴を学びました。写真は、より大量の情報を提供できます。図は情報の要点を絞って伝えるときに有効です。また、効果的にアニメーションを使うことで、伝えたいことを印象的にすることができます。
受講生は、これらの講義の内容を踏まえ、講師が用意した発表資料を見やすいデザインの資料に変更する、自己PRを発表資料の形にまとめる、という2つの課題を行い後日提出することになっています。