2023年6月18日(日)研究力養成コース第3回、キャリアプログラムを行いました。
2023年6月18日(日)研究力養成コース第3回目の講座として、キャリアプログラムを行いました。FSSの受講生たちは、同日開催の研究発表会をもって研究力養成コースを修了します。約1年間にわたるFSSでの体験を将来のキャリアパスに繋げるために、民間企業人事担当者と現役大学生の二人の講師から、自らの経験を踏まえたお話を聞きました。
講師 ヴェオリア・ジャパン株式会社 上級人事ビジネスパートナー 倉持孝博 氏
講師 筑波大学生命環境学群生物学類4年 静岡大学FSSⅠ期修了生 竹内希海 氏
「キャリア・キャリアパスの考え方」ヴェオリア・ジャパン株式会社 倉持孝博 氏
倉持氏は大学院修了後、製薬会社に勤め、研究活動を続けながら学位(博士)を取得しました。その後、企業の中の研究、経営企画、製品戦略等の人事に携わってきました。その経験をもとに、「キャリアパスを考える必要があるのか?」という問いを受講生に投げかけながら、キャリアやキャリアパスの考え方を伝えて頂きました。
1900年代後半から2000年代前半にかけてビジネス環境が大きく変わるのに伴い、労働市場にも変遷がありました。終身雇用からジョブ型雇用へ、組織貢献から個人重視へ、キャリアパスの構築のため意図的な仕事選びが求められるようになりました。キャリアについて積極的に、一生考え続けることが必要な時代になったわけです。
さらに倉持氏は、キャリア・キャリアパスの構成要素に沿って、長期的な大きな目標と短期的な小さな目標を掲げていくことの重要性を強調されました。興味と意志(interest)をもとに就業機会(opportunity)を探索し、能力(capability)を高めていく、それらを行動(action)でつなぐことがキャリア開発です。そして実践と振り返りにより、自己理解やスキルの幅を広げていくことで自らのキャリアパスを広げることができます。最後に、グローバル、英語、学位、自己啓発という4つのキーワードを上げ、役立つ能力の獲得が次のキャリアにつながること、そのためには行動を起こすことがとても大切であることを受講生たちに伝えていました。
「キャリアパス講座 −理系大学生の一例−」筑波大学4年生 竹内希海 氏
竹内氏は、子供のころからいろいろな所に出掛け、いろいろな生き物を観察することが好きで、小中学生の時にはセミやモリアオガエルの研究に取り組んでいました。高校に入学し、静岡大学のFSSに参加しました。FSSでの研究成果を携え、GSC全国受講生研究発表会やFSSのタイでの研修に参加するなど、積極的に活動してきました。しかし、より広い世界に触れるにつれ、「自分の研究はたいしたことなかったのでは?」という疑問を感じるようになりました。そして、大学で4年間過ごす中で、「すごい人はいくらでもいる!」と感じつつも、FSSで研究活動を経験したことは確実に役に立ち一生自分を助けてくれるスキルを獲得できたと感じるようになったそうです。さらに、FSSの後輩への助言として、大学選びで迷ったら広く学べる大学を選ぼうと伝えました。
竹内氏は現在、博物館の学芸員となることを志しています。博物館は調査・研究、資料の収集・保管・活用、展示・学習支援活動などを行う施設です。学芸員は大学で取り組んできた生物学の基礎研究に関する成果、FSSで体験した研究活動、そして現在学んでいるサイエンスコミュニケーションのスキルを総合的に活かせる職業です。
最後に竹内氏は「3つの無」というお話をされました。「無制限」データはあればあるだけいい。「無計画」実験も調査もできる時にやる。「無目的」直接役に立たないデータでも大事。自然というフィールドで基礎研究に取り組む決意を受講生に伝えてお話が終了しました。