2023年9月1日(金) 研究力発展コースの石井響音君(静岡県立伊豆伊東高等学校3年生)が映像情報メディア学会で学会発表を行いました。

 静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)の研究力発展コースに在籍している石井響音君(静岡県立伊豆伊東高等学校3年生)は、静岡大学情報学部/電子工学研究所の青木徹教授、加瀬裕貴特任助教の研究室(青木研究室)でARとロボットの融合の可能性を探る研究を行っています。2023年9月1日(金)、東京理科大学葛飾キャンパスで開催された映像情報メディア学会2023年次大会において、「拡張現実(AR)によるリアルなロボットの動きと映像キャラクターの統合表現」というタイトルでその成果の口頭発表を行いました。

 石井君は2022年8月、FSSに入校し、基礎力養成コース(第1段階)、研究力養成コース(第2段階)を修了した後、現在、研究力発展コース(第3段階)に在籍しています。第2段階で情報学部/電子工学研究所の青木教授、加瀬特任助教の指導の下、AR技術とロボットを組み合わせて「触れ合い」可能なキャラクターを作ってみたい、という高校生ならではのアイデアをベースに研究が進められてきました。

 学会で発表した石井君の研究内容は、AR (Augmented Reality)とロボットを使用した「触れ合い」可能なキャラクターを生成し、人間とコミュニケーションをとるという目的のもと、モーションセンサーを使用して人間の手の動きに反応して、ロボットが動作を行い、同じ動作をARでも表現できるというものです。そして、この研究で得られた研究成果は今後、ホテルやレストランで稼働しているロボットにARを合わせることでよりエンターテインメント性の高い体験をしたり、アニメやゲームに登場する好きな「推し」キャラクターと実際に握手をしたりハイタッチをすることができるといった夢のような体験を実現できると期待されています。なお、本研究成果は、一般社団法人映像情報メディア学会の発行する予稿集「映像情報メディア学会2023年年次大会講演予稿集」に掲載されています。

ロボットにARによる映像キャラクターが
重なり合わさる様子

他大学の研究者、メディア産業の開発研究者の前で研究発表を行う。

各方面の専門家からも、多くの質問を受ける。

 質疑応答では、「ロボットとARを融合させて、将来的にどのような構想を描いているのか」や「触れられるロボットはリアルの人間との違いをどのようにもたらすか」などといった、普段学会に登壇しない高校生ならではの発想に関する質問が多くされました。大学や民間の第一線の研究者が同じセッションで登壇するような場で、大人の専門家からの質問にも臆することなく立派に答えていました。

 指導に当たった青木先生や加瀬先生からは次のようなコメントをいただきました。
「石井君は、主にオンラインで私どもの指導を受けながらロボットの動きの3DCGやARについて研究を進めてきました。今までプログラミングを行ったことがなく、3DCGの知識がほとんどないという状態から学会で発表ができるレベルまで成長することができました。研究のために新しいスキルを習得する意欲を持ち、熱心に勉強する様子は私たちも感心させられました。彼が静岡大学浜松キャンパスにやってきて、自分がプログラム実装したロボットの動きを初めて実際に見たときには、私たちは嬉しい瞬間を共有することができました。今後の石井君の活躍に期待しています。」