2024年9月29日(日) 基礎力養成コース 第5回ワークショップを行いました。
2024年9月29日(日)、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)は基礎力養成コースの第5回目講座として対面でワークショップを行いました。
今回の講座は理学部地球科学科 生田領野先生による「理系の文章作成方法(パラグラフ・ライティング)②」です。ここでは8月4日に行った「パラグラフ・ライティング①」をもとに、複数のパラグラフより構成される実践的な文章作成テクニックを学びました。さらに、パラグラフライティングで文章を書くことの効用を実感するために、これまで受講したメインレクチャーの内容を要約する作業を行いました。
まず前回の振り返りとして、パラグラフライティイグの手法で文章を書いてみたときに、やりにくかったところ、上手く出来なかったと感じたところを受講生同士が共有しました。受講生からは「前のパラグラフ内の言葉を拾って繋げていくのが難しかった」「ルールを意識するあまり、文章が出てこなくなる」「既知の内容から未知の内容に展開するとき、既知と未知の境界がよく分からない」などの感想が聞かれました。
講師の生田先生からは、受講生がレポートとして提出した文章に対する講評や解説が伝えられました。まず序文パラグラフが全体の要約にならず、導入になってしまっている傾向あることが指摘されました。また、サポート文の内容がモヤっとした印象を与えないようにするためには、各パラグラフ内で述べられていることに対して、パラレリズムを意識することが重要とのことでした。これは、1つのパラグラフ内で述べていることが性質なのか、経緯なのか、根拠なのかなど、内容の属性をパラグラフ内で揃えていくことが明瞭な文章を書くコツであるということでした。
次に、これまで受講したメインレクチャーの内容をもとに、パラグラフライティングの手法を使った説明文を作成することを試みました。7月末にスタートした基礎力養成コースでは、これまでに次の4つのメインレクチャーを聴講しました。
1.自然災害は自然現象か
2.姿が異なるオスとメス
3.人間の目を超えたイメージング
4.悪魔の物理学
いずれも大学での研究を背景とした講義であるため、高校生にとってみると初めて接する概念も多く、それぞれの研究の背景となる理論を捉えきれない様子も見られました。そこで、
①グループワークを行い、メインレクチャーで述べられた要点をトピックとして共有する
②トピック文への文章化の過程でメインレクチャーに含まれる概念を整理する
という2つの目的で、パラグラフライティングを活用してみることにしました。
受講生たちは、班ごとに4つのメインレクチャーから1つを選択しました。次に、ホワイトボードアプリを使い、選んだメインレクチャーに含まれていたと思われるトピックを書き出していきました。選んだトピックを、トピック文として一つのセンテンスに置き換えていきました。さらに、出てきたトピック文を要約するような序文パラグラフを作ってみました。
作業を始めてみると、講義の中で出てきたキーワードを羅列しただけでは、講義の内容をうまく表現できないことが分かってきました。そのキーワードの属性に従ってグループ分けしたり、講義の中での重要性を階層化して捉えたりという作業が必要になってきました。
受講生たちは、今までモヤっと捉えていたものが次第に明瞭になっていくことを実感できました。
最後に、講師の生田先生が、受講生がまとめた内容について解説をしました。大学の講義では、用語の意味を理解したり、研究の背景にある理論や概念を理解したりするだけでなく、多くの理論や概念について、お互いの関係性や全体の構造を捉えていくことが重要であることを高校生に伝えていただきました。