2025年3月21日(金) 研究力発展コース 研究発表会を実施しました。
静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)研究力発展コース(第3段階)の受講生が、約1年半の期間で研究した成果を発表するため、2025年3月21日(金)に研究発表会を行いました。

司会の雪田先生と粟井委員長による開会の挨拶。
今回研究発表に臨んだのは、2023年7月に入校した高校生13名です。2023年7月23日、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS) 基礎力養成コース(第1段階)に59名の高校生が入校しました。この中で、静岡大学の研究室で研究をしたいという希望がある受講生は、9月末に研究提案書を提出し、選考を経て、2023年11月より34名が研究力養成コース(第2段階)に進みました。さらに、2024年7月より研究力発展コース(第3段階)に進み、本格的な研究を行った13名が、今回の発表者です。
静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)では、次に掲げた「6つのつなげる力」の習得を目指しました。
①分野横断的な発想力
②研究を社会の課題解決につなげる視点
③課題解決を目指した討論力
④発想を成果につなげる研究遂行力
⑤研究成果を外部に発信する挑戦力
⑥世界とつながる国際性
基礎力養成コースでは幅広い分野の研究について講義を受け、科学者に必要な倫理観やスキルを学びました。研究力養成コースでは、静岡大学の研究者から個別に研究の手ほどきを受けることと並行して、海外大学生との交流や地域課題解決をテーマにしたワークショップを行いました。研究力発展コースでは、より深く研究を進めていきながら、自分の研究を社会実装する視点を養うためにアントレプレナーシップ講座を受けました。
今回の発表に臨むにあたり、2024年11月には中間報告会を行い、受講生同士での質疑やFSS担当教員からの助言を受け、研究の軌道修正を行いました。また、JSTのサイエンスカンファレンス2024など全国レベルの発表会や学会に積極的に参加し、優秀な発表として表彰された研究も数多く、アウトプットを経験することが研究内容を深める機会となりました。
研究力発展コース受講生の発表は、以下の通り13件です。この中で、英語での発表は10件ありました。
長谷川遥空 「カモノハシ頭蓋骨形態と環境との関連性の追究」
鷲山慶樹 「ナミアゲハ(papilio xuthus)幼虫の腹脚の形質と生息環境の関係」
川﨑真宗 「プラナリアの再生と光の波長の関係」
江尻宗一郎 「赤外線センサと決定木によるプラスチック廃棄物の自動分析」
佐藤朱浬 「イヌ(伴侶動物)とヒト(飼い主)との以心伝心:
表情から感情を読み取れるか?」
佐藤蓮太郎 「照明として利用可能な可視光通信の研究」
高津圭梧 「瀬戸川帯の付加体中に産する鉄丸石の微細構造観察」
近藤千智 「カエルの皮膚における間脳視床下部ホルモンの発現」
西本圭佑 「共生細菌に対する宿主細菌の捕食の影響」
藤井佑成 「断頭三角柱の体積公式の断頭多角柱への応用」
大迫悠暉 「疑似濃淡電池の反応機構の解明」
池田梗 「昆虫のタケノコへの誘引」
海野遥光 「蒸気ロケットエンジンの有効性
〜水ロケットとの比較から考える〜」
研究発表の聞き手として参加された方も、研究指導をした静岡大学の研究者、1年後輩の研究力養成コースの受講生、高校の先生方、外部評価員など講座運営に御協力頂く機関の皆様など多岐にわたりました。学内の教員にはリモート配信も行われ、静岡大学浜松キャンパスから視聴することもできました。

鉄丸石の研究について発表する受講生。

発表に熱心に聞き入る参加者

カエルの皮膚から分泌するホルモンについて発表する受講生。
それぞれ8分間の発表後、質疑応答の時間が設けられました、様々な専門分野の教員や外部機関の方々から、研究内容について活発な質疑が交わされました。また、昨年11月から研究力養成コースに進み、1年後輩で研究を始めたばかりの受講生も活発に議論に参加していました。高校生同士の質疑では、研究対象について発表者とは異なる視点が示されるなど、FSSの活動を通して広い視野と柔軟な発想が養われていることが実感されました。

研究力養成コース(第2段階)の受講生と質疑を交わす発表者。
昼食休憩の後、FSSの事業運営にご協力頂く外部評価委員や外部機関の参加者を対象に、「FSS事業報告会および連絡協議会」が開かれました、ここでは2024年度の事業実績が粟井委員長より報告され、関係者間での情報共有や意見交換の場となりました。

昼の時間帯を利用して、外部評価委員のご参加の下「FSS事業報告会および連絡協議会」が開かれた
およそ4時間をかけ13件全ての発表が終わり、最後に閉会式を行いました。閉会式では、全員に一人ずつ粟井委員長から修了証が手渡されました。また、2日後の3月24日から、この中の9名は、インドネシアに海外派遣研修に出かけます。インドネシアでは、現地のペトラ・クリスチャン大学の大学生と研究発表を通して交流を図ったり、ブロモ山に登り火山地域の見学をしたりする予定です。

発表会終了後、研究力発展コースの全受講生に修了証書が授与された。

2年間、いろいろな高校から集まり交流を深めた受講生たち

FSS研究力発展コース受講の記念写真撮影。
FSSの活動は研究力発展コース修了をもって全課程が完結しましたが、修了者のうち希望者7名が「継続コース」として在籍し、高校を卒業するまで静岡大学の研究室で研究指導を受けることになっています。静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)が掲げる「6つのつなげる力」を身に付けた高校生たちが、将来、国際社会や地域社会で活躍することを期待しています。