2026年2月15日(日) 研究力養成コース第2回講座として「海外大学生との交流②」を行いました。
2026年2月15日(日)、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)は研究力養成コースの第2回講座としてワークショップ「海外大学生との交流②」を行いました。
本日の目標は、3月7日にシンガポール国立大学(NUS)の大学生に向けて行う「『地域の困りごと』を科学的に解決!」という発表について、内容を検討し深めることと、英訳作業をスタートすることです。前回1月25日にどのような「地域の困りごと」を取り上げるかを話し合った受講生たちは、自宅等からオンラインでのグループワークを続け、スライド資料を日本語で作成しました。各グループの発表テーマは次の通りです。
グループI:使われる側から、使いこなす側へ
-時間管理と依存対策から考えるインターネット利用-
グループⅡ:都市と環境の共生
グループⅢ:気象災害による公共交通機関への影響
グループⅣ:科学の力と消えゆく緑
グループV:漁獲量の減少について
グループⅥ:衛生環境と水の整備との関連 -シンガポールの事例を中心に-
そして、本日の講座の前半では、全受講生、外国人留学生のTA、FSS担当教職員の前でこのスライド資料を使って発表を行いました。講座の後半では、各グループに静岡大学に通う外国人留学生がTAとして加わり、発表内容の再検討と英訳の作業を行いました。

自分たちが取り上げた「地域の困りごと」について、日本語のプレゼン資料による発表を行いました。
前回の講座では、自分たちが「地域の困りごと」として取り上げたローカルな事象に、科学の視点やグローバルな視点を当ててみるという作業を行いました。さらにテーマの検討と合わせて、交流を予定しているシンガポール国立大学で学ぶ大学生と問題意識を共有できるかについても議論しました。FSSの受講生たちは前回から今回までの3週間の間に、日本の状況と海外の状況を比較できる統計資料や自分たちの提案を裏付ける事例などを調べながら、グループ毎にオンラインでミーティングを行い自分たちの主張をまとめていきました。今回、それを日本語で発表しFSS担当教員からの質問を受けることで、さらに検討が必要な視点などを確認することができました。

グループIは、青少年がSNS利用に依存する現状を指摘しました。その上で、海外でのSNS利用規制に関する取り組み例や、自分たちが考える解決策を発表しました。

グループIIは、日本の都市の緑地化の問題を取り上げました。シンガポールの緑化政策を例として取り上げながら、日本の都市における緑化技術を検討しました。

グループⅢは、気象災害における公共交通への影響を取り上げました。日本とシンガポールの公共交通の現状を比較しながら、気象災害への対応方針の違いを明確にしました。

グループⅣは、静岡市の緑地分布のアンバランスを課題として取り上げました。シンガポールの緑地面積の変遷を辿りながら、静岡市で有効な緑地化技術を提案しました。

グループⅤは、日本の漁獲量の推移と共に、社会的余韻による漁法が変化していることを指摘しました。解決策として養殖業の拡大と、その時に生じる技術的課題をまとめました。

グループⅥは、シンガポールの水資源確保の事例をもとに、日本の水環境を考察しました。両国の国土の成り立ちを比較しながら、社会インフラ整備の重要性を提示しました。
6グループの発表が終わると、それぞれのグループに分かれ、発表内容の再検討と発表資料を英訳する作業に取り掛かりました。各グループには、静岡大学に通う外国人留学生がTAとして二人ずつつき高校生たちに助言をしました。留学生の皆さんも母国語は英語ではありませんが、大学での研究活動では英語が公用語です。高校生たちの中にも英語が流暢に使える人はいますが、英語でのコミュニケーションに慣れていない人も多いという状況です。自分の考えを伝えるには、片言の英語でも恥ずかしがらないことが重要です。
高校生たちは取り上げた課題の背景を改めて説明し、外国人TAの皆さんと情報共有をした上で、英語版のスライドを作成する作業にとりかかりました。高校生たちが根拠とする事例の出典が適切か、自分たちが主張しようとしていることに対し調べた統計資料が裏付けとして有効か、TAが研究者の視点で助言をしていきます。同時に、海外の大学生に高校生たちが討議した内容が正しく伝わるのかという点も重要な論点です。自国の事情だけに囚われた一方的な主張になっていないか、他国の社会や歴史、文化などの背景を少しでも理解しようとしているか、これらを吟味することが当日の議論が噛み合うか否かの分かれ目になります。このような議論を深めていくために、外国人留学生の皆さんの助言が有効でした。

TAとして指導にあたる静岡大学の外国人留学生に、自班が取り上げた困りごとのイメージを伝えることが大変な作業でした。

外国人留学生の視点を参考にしながら、自分たちの発表内容を再検討しました。
グループワークは90分で終わりましたが、シンガポール国立大学の学生に向けた発表を行う3月7日(日)まで、リモートで英語のプレゼン資料の作成作業が続きました。必要に応じて外国人TAも参加したミーティングをオンラインで設け、内容について意見交換を行いました。外国人TAは、日本語スライドの英訳をチェックするだけでなく、プレゼンテーションで強調すべき点、スライドの取捨選択、提案の根拠になる資料の示し方など、研究者としての基本的なスキルをきめ細かく指導しました。

外国人留学生に、専門用語の英語表現などについてアドバイスをもらいながら英訳作業をしました。
後日提出された振り返りには次のような受講生の感想が書かれていました。「まずは徹底した『現状分析』と『当事者意識の共有』が必要です。統計データなどの定量的な調査に加え、現地でのフィールドワークといった定性的な情報を集め、地域の真のニーズを浮き彫りにする議論が欠かせません。」「グループ討論を通して、提示された課題そのものだけでなく、『人と本気で話し合うことの難しさ』を改めて実感した。私はこれまで、複数人で意見を深めることに苦手意識があったが、今回の討論では自分の考えを言語化する過程で曖昧さに気づいたり、相手の意図を丁寧に理解しようしたりとする姿勢の大切さを改めて感じることが出来た。」「一つの問題でも多角的に考えることの大切さを実感し、感覚ではなく根拠を意識して考える姿勢が身についたと感じました。」「自分自身で意見を持つことは確かに重要なことですが、他人との討論なしに自分自身だけで考えていると、自分ではその気がなくても自分の主観を多く含んだ、全くの理論に結びついていないものになってしまうということに気づくことができました。他人と討論することは自分に新たな視点をもたらし、ときには意見を180度逆転するほど重要なことだと感じました。」