2023年3月19日(日)基礎力養成コース第11回、ワークショップを行いました。
2023年3月19日(日)に、基礎力養成コース第11回目は、「海外大学生との交流 -英語活用能力・プレゼンテーション能力の向上-」の2回目の活動として、シンガポール国立大学(以下NUS)で日本語を学んでいる学生の皆さんとの交流会を行いました。
FSS受講生の高校生は、前回2月19日のワークショップの後の1か月間、Google classroomを用いながら、「『地域』の困りごとを科学的に解決!」のプレゼンテーション資料を英訳するとともに、プレゼンテーションの内容を再検討しました。さらに、このclassroomでの作業には外国人留学生のTAが加わり、英訳の手伝いや発表内容への助言をしました。このやり取りは、すべて英語でした。外国人TAの皆さんが、班のメンバーに積極的な働きかけを行った結果、classroom上の討論も次第に活発になっていきました。それらの討論を経て、FSS受講生は英語と日本語の2種類のプレゼンテーション資料をつくり、3月19日の交流会に臨みました。
7つの班の発表テーマと大まかな内容は次の通りです。
GroupⅠ The Decline of Sakura Shrimp
桜エビの水揚げ量減少を地域の課題として取り上げた。未解明の生態的な特徴を明らかにすることで、養殖技術の実用化を目指す。養殖技術の開発の中で、品種改良を進め環境変化に強い個体をつくることを提案した。
GroupⅡ Protection of the Agricultural Production from Wildlife
野生生物による農産物の被害を課題として取り上げた。静岡や山梨では、近年単位面積当たりの被害額が増加している。これに対して、自然再生技術の開発で野生生物の食料を確保する方法、鳥獣捕獲装置の遠隔操作で個体数の調整する方法の2案を提案した。
GroupⅢ Resolving water pollution in the surrounding area
全国的に見ても多い、静岡県の水質汚濁事故を取り上げた。この要因として、排水処理装置の普及が十分でないことを指摘した。これに対し、硝酸菌と藻類によるecoシステムを導入すると同時に、硝酸菌による生物的攪乱を大型底泥生物で緩和することを提案した。
GroupⅣ Relation between Water and Sakura Shrimp
桜エビの漁獲量の減少と、駿河湾の水質汚染の関係を取り上げた。土木工事による土砂の流入や農薬の流入で植物プランクトンの減少が起こっているのではないかと指摘した。対策として、植物プランクトンの増殖を促すため、米ぬかの冬季散布を提案した。
GroupⅤ Agriculture issues in Shizuoka prefecture
静岡県の就農者の高齢化とともに農業生産量の減少していることを課題として取り上げた。耕作放棄地が全国平均を大きく上回り、農家への持続的な支援が必要である。その耕作放棄地をスマート農業で活用し、特産物である畑わさびの生産量回復を提案した。
GroupⅥ Rusted Playground Area
身近にある公園が抱える困りごとを取り上げた。禁止事項の増加や管理の不足により、遊具に錆が発生し、子供が利用しにくい状況が生じている。高等学校で学ぶ化学の知識を活用し、家庭用品としての食酢や重曹を利用した解決方法を提案した。
GroupⅦ Vibration Power Generator
国家間の紛争による流通の停滞や円安を背景にしたエネルギー価格の上昇を課題に取り上げた。大規模発電所での再生可能エネルギー利用促進にも、電力利用者の経済的負担が発生する。そこで、振動発電を活用した小規模発電装置の開発を提案した。
FSS受講生とNUS学生の交流会は、運営委員長 粟井教授の挨拶、NUSでコーディネーター役を務める森川先生の挨拶で始まりました。FSS受講生とNUS学生はZoomのブレイクアウトルームの機能を使って班に分かれ、プレゼンテーションや意見交換を行いました。しかし、英語が流暢に使える高校生と英会話にあまり自身のない高校生が混ざっている状態です。そこで、高校生が困ったときは静岡大学の外国人TAがファシリテートを行い、なんとか交流会が進んでいきました。鋭い質問や少し訛りのある英語に苦戦しながらも、お互いの国の様子を情報交換する場面も見られ、次第に打ち解けた雰囲気ができてきました。
また、講座の終了後も、高校生、NUS学生、外国人TAのそれぞれ10名ほどがZoomを通して、和やかに歓談する様子が見られました。
なお、2003年3月1日に開催された第9回国際シンポジウム「ISFAR-SU 2023」で、英語による研究発表を行った、桐生有花さん 小泉剛愼さん 栁田純佳さんが優秀賞を受賞し、講座終了時にその表彰が行われました。