2024年2月18日(日) 研究力養成コース第2回として「海外大学生との交流②」を行いました。
2024年2月18日(日)、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)は基礎力養成コースの第2回講座としてワークショップ「海外大学生との交流②」を行いました。
前回のワークショップで、3月10日に行うシンガポール国立大学(NUS)の大学生向け発表に地域のどのような困りごとを取り上げるかを話し合った受講生たちは、その後自宅からリモートで発表に使うスライド資料作成の作業を行いました。各グループの発表テーマは次の通りです。
グループⅠ:三保海岸のゴミ問題
グループⅡ:マンホールでの転倒防止
グループⅢ:放置竹林の活用方法
グループⅣ:静岡県内の交通問題
グループⅤ:佐鳴湖の浄化を促進するには
グループⅥ:野生動物による被害と対策
今回の講座の前半は、事前に各グループが用意したプレゼンテーションを日本語で発表しました。後半は、静岡大学に通う外国人留学生がTAとして各グループに加わり、グループワークで発表内容の検討と英訳を行いました。地域特有の困りごととして高校生が取り上げた課題や解決方法について、日本に来て間もない外国人学生がイメージできるように説明する事が最も工夫を要するポイントとなります。
各グループのスライドでは、まず静岡がどこにあるのか、どんな地域なのかが紹介されます。そして、地域が抱える課題をグラフや表、写真などをもとに説明していきます。さらに、科学的な解決方法が紹介されます。FSSの受講生たちは12月から研究力養成コース(第2段階)に進み、静岡大学の各研究室での研究が始まったところです。1つのグループは、さまざまな研究テーマを掲げた受講生で構成されています。多様な興味や関心を持った高校生が混じり合うことで、取り上げた地域課題に対して多様な視点が示されました。また、受講生が住む地域も静岡県全域に広がるばかりでなく、首都圏、中京圏、関西圏と多様です。お互い知らない地域の知らない環境を想像しながらのプレゼンテーションになりました。
各グループの発表の後に、発表内容に対する質疑の時間が設けられ、受講生や教員から多くの質問がされました。「発表された課題は、日本各地でも共通するものが多いが、その地域特有な状況をどう伝えたら良いのだろうか?」「地域固有の自然環境や生活環境を伝えるには、スライドをどう工夫したら良いのか?」など、日本に対する予備知識のない人たちに地域固有の課題を伝える上で不足している観点が指摘されました。また、これまでのサブレクチャーで学んだ発表スライドの作り方や理系の文章作成方法に基づいた助言もありました。
すべての発表が終了した後、受講生同士がルーブリックを用いた相互評価をしました。取り上げた課題の適切さ、説明の分かりやすさ、スライド資料の見やすさなどを4点満点で評価するとともに、コメントを書きます。課題へのアプローチ方法がグループによって全く異なり、他のグループの発表に対し新鮮な印象を受けているようでした。またコメント欄には、日本の事情をよく知らない外国人にどんな情報を提供すれば良いかというアドバイスも見受けられました。これらの相互評価を各グループにフィードバックし、次の作業に移りました。
後半は、それぞれのグループに分かれ、発表資料を英訳する作業に取り掛かりました。この時、静岡大学に通う外国人留学生が各グループのTAとして、高校生たちに助言をしました。留学生の皆さんも母国語は英語ではありませんが、大学での研究活動では英語を用いています。高校生たちの中にも英語が流暢に使える人はいますが、英語でのコミュニケーションに慣れていない人も多いという状況です。片言の日本語、片言の英語が飛び交う中で、高校生たちは自分たちが取り上げた課題の背景を改めて説明していました。
グループ内での情報共有が一通り終わると、英語版のスライドを作成する作業に移りました。解決すべき課題で取り上げた地域の地理的な特徴、日本に棲む動植物のイメージや生態、高齢化などの社会状況を表すデータ、課題解決に使えそうな新しい技術の紹介などの資料を整えながら、それらを英語でどう表現するかを検討していきます。作成した資料を使って海外の人たち向けに発表した時に情報が正しく伝わるのか、自分たちが課題として取り上げた理由を海外の人たちが共感できるのか、これらを十分に吟味できるかが、当日の議論が噛み合うのか否かの分かれ目になります。高校生たちにとっても、日本のローカルな社会課題を改めて自分たちの問題として捉えることが要求されます。
グループワークは90分で終わりましたが、3月10日(日)シンガポール国立大学の学生への発表を行う次の回まで、英訳の作業に外国人留学生のTAも参加し、リモートで続けられます。