2024年3月22日(金) 研究力発展コース 研究発表会を実施しました。

 静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)研究力発展コース(第3段階)の受講生研究発表会を、2024年3月22日(金)に開催しました。およそ1年半の研究の集大成の発表です。
 

粟井委員長による研究発表会開会の挨拶。

 今回研究発表に臨んだのは、2022年度に入校した高校生16名です。2022年8月21日、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS) 基礎力養成コース(第1段階)に42名の高校生が入校しました。基礎力養成コースでは最先端の科学の知識や科学者として必要なスキルを学び、「分野横断的な発想力」を身に付けました。同年10月に、自身が興味のある自然現象やものづくりのアイディアをもとに研究提案書を作成し、12月より36名の高校生が研究力養成コース(第2段階)に進みました。

研究力養成コースでは、静岡大学の各学部の研究者の下で研究を行い「発想を成果につなげる研究遂行力」を磨きました。2023年6月には、そこまでの研究成果を発表し、研究力養成コースを修了しました。その中の16名はFSSの最終段階である発展コース(第3段階)に進み、さらに10か月間にわたって研究を継続しました。

また第2段階と第3段階では研究と並行して、「海外大学生との交流」「放任竹林問題」「アントレプレナーシップ講座」という3つのテーマでワークショップを行い、「世界とつながる国際性」「課題解決を目指した討論力」「研究を社会の課題解決につなげる視点」を養いました。そして一連の講座の最終段階として究発表会を実施し、約1年半にわたる研究活動を通して身に付けた「研究成果を外部に発信する挑戦力」を披露しました。

 研究力発展コース受講生の発表は、以下の通り12件(グループ研究2件)です。この中で、英語での発表は7件ありました。
山川美咲  「テナガエビの知られざる生態 〜化学感覚及び視覚の秘密〜」
楢崎晃生  「甲虫の翅は蛹の時にはどのように折り畳まれているのか?」
水澤紗良  「真性粘菌の温度耐性」
神沼玄琉  「歩留まりの悪い素材を用いたドローンの飛行性能シミュレーション」
天野 兆  「オーストラリアにおける高校生の科学授業と科学研究
      〜FSS活動との比較的考察〜」
八木大地  「植物の成長におけるダンゴムシの糞の効果」
?田純佳  「栽培用LED光の波長によってレタスの味は変わるのか」
小泉剛愼  「金属メッシュを立体的に重ねた構造が与える水捕集効率への影響について」
久保田昊樹、柴田悠希  「リチウムイオン電池の劣化とその対策」
青野誠真  「乾燥耐性の有無に基づく緩歩動物クマムシの形態学的違いと 生活史の調査」
日比璃音  「モノホイールの実機模型の開発」
加茂修弥、中村隼、望月潤人  「チタン陽極酸化での色の変化と酸化被膜形成」

 研究発表の聞き手として参加された方も多岐にわたりました。研究指導をした静岡大学の研究者、1年後輩の研究力養成コースの受講生、高校の先生方、講座運営に御協力頂いている機関の皆様など、延べ30名近くの参加者がありました。さらに、当日静岡大学理学部で開催されていた「体験!サイエンスラボin静岡」に参加した高校生が多数見学に訪れました。中には、自分の同級生の前で発表するという場面もあり、流暢な英語での発表には感嘆の声が上がっていました。

粘菌の研究について発表する受講生。


ダンゴムシの糞が植物の成長に及ぼす影響について発表する受講生。


LEDによって栽培したレタスの研究発表は英語で行われた。


モノホイールの走行についての研究は、シミュレーションと実機製作によって行われた。

 8分間の発表後、質疑応答の時間が設けられました、発表者たちはお互いの研究内容について積極的に質問し議論を重ねました。また、FSSでの研究を始めたばかりの研究力養成コースの受講生も活発に議論に参加していました。発表で示された結果や考察に対し、もっと違う見方があるのではないかという発言もあり、異なる視点から自分たちの研究を見直す良い機会となりました。

入校1年目、研究力養成コースの受講生も発表会に参加し、積極的に質問を行った。

 昼食休憩の後、FSSの事業運営にご協力頂く外部機関の参加者を対象に、「FSS事業報告会および連絡協議会」が開かれました、ここでは2023年度の事業実績が粟井委員長より報告され、関係者間での情報共有や意見交換の場となりました。

昼の時間帯を利用して、関係者向けに「FSS事業報告会および連絡協議会」が開かれた。

 およそ4時間をかけ12件全ての発表が終わり、最後に閉会式を行いました。閉会式では、受講生代表として?田さんに粟井委員長から修了証が手渡されました。また、3月6日に四部局国際シンポジウム(ISFAR)が行われ、海外の若手研究者や静岡大学の大学院生に混ざって、FSS受講生の中から4件(6名)が英語での発表に臨みました。同シンポジウムで、この4件の発表は、高校生の部の「ベスト・プレゼンテーション・アワード」を受賞しました、その受賞者たち6名には表彰状が手渡されました。

発表会終了後、研究力発展コースの全受講生に修了証書が授与された。


2024年3月6日に行われた、四部局国際シンポジウム(ISFAR)で英語の研究発表を行なった6人に表彰状が授与された。

FSS研究力発展コース受講の記念写真撮影。

 2022年度入校生FSSの活動は研究力発展コース修了をもって完結しましたが、修了者の内希望者7名が「継続コース」として在籍し、高校を卒業するまで静岡大学の研究室で研究指導を受けることになっています。静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)が掲げる「6つのつなげる力」を身に付けた高校生たちが、「豊かな国際性を持ち、様々な分野の知識を結びつけて考える着想力及び他者と協働して遂行する力を発揮して課題を解決する能力により、新しい文化的価値の創造及び未来社会の創成に挑戦する人材」として世界や地域社会で活躍することを期待しています。