2025年8月3日(日) 基礎力養成コース 第2回メインレクチャー、サブレクチャーを行いました。
2025年8月3日(日)、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)は基礎力養成コースの第2回目講座として、理学部地球科学科 生田領野先生によるワークショップ「理系の文章作成方法(パラグラフ・ライティング)①②」を行いました。
ワークショップが始まる前に、FSS事務局 コーディネーターの竹内浩昭先生から、ITツールに関する説明がありました。FSSでは、オンラインのアプリを利用した課題提出やグループワークを行うことがあります。そのために、受講生にはFSSの活動用のアカウントが割り振られていますが、それを円滑に利用できるよう、ガイダンスを行いました。受講生は持参したパソコンを開き、ネットワークを使って必要なサイトに接続できるかを確認しました。

竹内先生が、付与されたアカウントの説明の後、オンラインツールの使い方を解説した。

今回のワークショップでは、全員がパソコンを持参し、オンラインのツールを使いながら作業を進めた。
今回のワークショップでは、各自のパソコンをネットワークにつなぎ、パソコン上でホワイトボードアプリを使います。アプリ内では、書いた文章を付箋として貼り付けたり図を書いたりすることができ、自分が書いた文章を班のメンバーで共有することができます。
受講生たちは、静岡県内および県外の様々な高校から集まり、まだお互いに名前も知りません。そこで、最初にホワイトボードアプリを使う練習も兼ねて「絵描きしりとり」を行い、緊張した雰囲気をほぐしました。スタートはイヌの絵です。最初の人がその隣に「ぬ」から始まる名前を持つものの絵をかきます。次の人はしりとりの要領で絵を描き、また次の人へとつないでいきます。言葉を用いずに他の人のイメージを読み取ることは難しく、珍回答の続出で、各グループが笑いに包まれ和やかな雰囲気が作られました。こうして、ホワイトボードアプリの操作に慣れ、受講生たちの緊張もほぐれたところで、パラグラフライティングの実習に移りました。

講師の生田先生による説明。アイスブレイクとして、絵描きしりとりを行なった。

絵描きしりとりでは、珍回答の続出で、和やかな雰囲気ができた。
パラグラフライティングとは、文章全体をトピック(話題)毎に分け、一つの段落(パラグラフ)を一つのトピックに充てる文章作成方法です。理系の研究論文などを書くとき、研究内容を順序立てて分かりやすく表現するための重要なスキルです。このパラグラフライティングのコツは、読み手・聞き手の予測(メンタルモデル)に合わせて、話を進めたり、文章を書いたりすることです。そして、次の6つのルールに沿って文章を書くことで、誰でも読みやすい文章が書けるようになります。
- 文全体の最初に「序文パラグラフ」を置く
- 共通のトピックは一つのパラグラフにまとめる
- パラグラフの先頭にはトピック文を置く
- トピック文だけ繋げて要約として意味が通じるようにする
- 一つのパラグラフにはトピック文を補助する文(サポート文)だけを入れる
- 接続語を適切に用いる

読み手・聞き手の予測に合わせて話を進めることで、分かりやすい科学研究の説明ができる。

パラグラフライティングのキーワード「メンタルモデル」の解説。
次に、いよいよ受講生自身による作文です。提示された課題は、前回の池田恵子先生のメインレクチャー「自然災害は自然現象か」中の話題を一つ選び、1パラグラフでその要約を行うことです。受講生たちは、早速前回の講義資料や、振り返りレポートの控えを取り出し、文章にするトピックを選ぶ作業を始めました。ルールに沿った作文とはいえ、講義の中で語られた本質的な概念を理解し、短い文章にまとめていくことは難しい作業です。少し時間はかかりましたが、全員が、ホワイトボードアプリ内の付箋に文章を書き終えることができました。

前回の講義資料を見直しながら、課題に取り組んだ。

ホワイトボードアプリを使いながら、各受講生が書いた文章を読み比べた。
全員の文章が揃ったところで、班ごとに批評会を行いました。冒頭に示された6つのルールに沿っているかを判断しながら、自分以外の人の文章に点数をつけていきます。その後、班のメンバー6人から班代表を一人選出しました。さらに、その代表の文章を推薦する人を班ごとに一人決め、なぜその文章を代表として選んだのかを全体の前で説明します。そして講師の生田先生からも、講評が加えられました。講師の批評の中で多かった指摘は、無意識に使っている言葉について定義が不明確であるという点でした。受講生たちは、共通の講義を聞いているため、文中の言葉の意味を暗黙の内に共有しています。しかし、そのことで講義の内容を全く知らない人には理解できない文章になってしまっていることを、改めて自覚することができた様子でした。

受講生同士で、各班の代表に選出した文章の講評を行なった。
受講生たちは、今回の実習で学んだことを踏まえて、次回までに課題レポートに取り組みます。課題は、メインレクチャー「自然災害は自然現象か」の内容をまとめ、4~5パラグラフからなる要旨の文章を作成するということです。講義後には、講師の生田先生に添削を依頼する姿も見られ、受講生の前向きな意欲が感じられたワークショップでした。