つなげる力 - 学問をつなげる –

 中学校までは、みなさんは全員が同じ内容を学んできました。高校になり、理系と文系にわかれ、学ぶ内容が人によって少し変わりました。大学では、さらに学部や学科によって学ぶ内容が大きく異なってきます。学問の世界は奥深く、自分の専門の学問を学ぶだけで膨大な時聞がかかるためです。

 ところが、その弊害も指摘されています。専門化が進んだ結果、現在の学問領域はあまりに先鋭的になりすぎ、一人の研究者が扱える研究範囲がとても小さくなっています。その結果研究の “視野” が狭くなり、時として新しいアイディアを出せず、に行き詰ってしまうのです。

 そんな時に、世界の研究者やイノベーター(革新を起乙す人たち)はどうしているのでしょうか。
イノベーションを研究している S.Berkun 氏が2005年にアンケ一卜をとったところ(*),75%以上の人が「他の学問領域のアイディアを適用する」と答えています(下図参照)。これは、現在の科学研究においては、自分の専門領域の知識だけでは限界があり、他の学問世界も知っていなければ突破できない壁がある、ということを示唆しています。

 このFSSのテーマは「つなげるちから」です。自分の専門領域の世界と、さらに別な知の領域の世界を “つなげる” ことで、未来の新しい学問の世界を開拓するととができるのです。

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問:アイディアを出すときにどんなテクニックを用いていますか?
 1位:他の領域のアイディアを適用する 76.9 %
 2位:ブレインストーミング 72.5 %
 3位:実験してみる 64.8 %
 4位:他の人とコラボレーシヨンする 63.7 %
* http://scottberkun.com/2006/innovation-survey-results-summary/ より一部抜粋
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FSSニュースレター2018第1号より)