2018年9月16日(日)、第4回基礎力養成講座を行いました。

 メインレクチャーは工学部機械工学科、三浦憲二郎先生の「デジタルスタイリングデザイン〜感性を生かしたものづくり〜」。自動車や飛行機などのものづくりにおいて、人の感性を反映させるツールの開発やデザインの質を高める曲線についての話を伺いました。講義の終盤で『2次関数 y=x の原点における「曲率半径」を求めよ』という課題に挑戦しました。高等学校で、まだ円の方程式や微分積分などを学んでいないため、受講生にとって講義の内容や課題もかなり難しいものでしたが、点を決めることによってどうして曲面が作成できるのか、曲線の機能と美しさの関係などの質問が寄せられました。

 続いて、今年度海外研修に参加した発展コース生4人から、研修地のタイ・タマサート大学の基本情報、FSSとタイの高校生・大学生との合同研究発表会、現地の研究の動向などについて報告がありました。発展コース生からタイの研究力や高校生の英語能力の高さ、一つの研究から多方面の研究につなげていくことの大切さなどの感想がありました。来年度も海外研修は継続するので、二期生からも多くの参加希望者が出ることを期待します。

 午後はワークショップです。1グループ4、5人の受講生で「分散型エネルギーは人類を救うか?」というテーマで英語ディスカッションを行いました。テーマは前回のメインレクチャー、木村先生からのレポート課題『分散型エネルギーの生産方法について、あなたのアイディアを書きなさい』に準じたものです。現在、開発している分散型エネルギーや新たな原材料、生産方法での分散型エネルギー生産の可能性、集中型エネルギー(原子力、火力、水力発電)生産との併用などについてグループで話し合った後、発表を行いました。各グループとも大学院生および海外からの留学生から英語表現についてアドバイスを受けました。今回が初回でしたがグループ発表を英語で行う受講生もいました。回が増すごとに英語の使用が増えること、討論の内容も深まっていくことを期待します。

三浦憲二郎先生の講義

課題に挑戦する受講生

海外研修報告

ワークショップ・グループ討論

ワークショップ・グループ発表

<受講生の感想など(ニュースレター掲載分を含む)>

 レクチャーの中で最も驚き心に残ったことは、人間が美しいと感じる曲線には一般式があるということだ。しかもその式が単純であることにとても驚いた。今までは人間の感覚をここまで数学で表されるなど思いもしなかった。この理論を、デザイナーの能力を最大限発揮させることに利用するという技術にも興味を持った。
(静岡高等学校 D.S.)

 今日の講義を聞いて最初に思ったことは、題名でもあるデジタルスタイリングというものはどんなものとでも、照らし合わせて考えることができると思いました。私は普段カニについて研究しています。カニについていえば、カニの甲羅の構造はとても興味深いつくりをしています。今回の講義は、自分がおこなっている研究について考えながら聞いていました。また、数学の分野が出てきたときは、科学は数学とも結びつけることができるのだなと思いました。今回は円についてでした。私は学校で二次曲線について習ったばかりでした。正直にいえば、解ける気がしませんでした。でも解説を聞いてみると特別難しい公式や解き方をしているわけではなさそうでした。数学に関しても科学に関しても発想力が大切なのだなとおもいました。よく有名な賞を受けた大学の教授や学校の先生は考える力を持つべきだとおっしゃっていました。考える力があるからこそ、好奇心がうまれると私は思います。好奇心を持つことで問題を考え、解決する。難しいことに挑戦したり、考えることは大変で、苦労します。そのことをポジティブにとらえていくことができる人こそが、ゆくゆくノーベル賞などを受賞していくのだろうとおもいます。人に認められることを目的とするのは、間違っていることは、確かだとおもいます。しかし、ひとつのモチベーションとしておくのは問題ないとおもいます。私も見習って活動していきたいです。
(浜松学芸高等学校 T.M.)

 現在、多くの人がAIが人に取って代わって仕事や運転あるいは音楽まで行うことができることに将来の発展を夢見ている。正直私もAIの今後の進化や活躍を期待している。そのため、今回講義をしてくださった三浦先生の少し私たちとは違った発想にとても興味を持った。三浦先生はデザインのような感性を求めるものは人間が行うべきだと考え、そのためのツールとしてソフトウェアなどのコンピューターなどを作る研究をしている。講義では、CADやCAM、CAEなど先生の研究やこれから必要となる知識を教わることができた。講義の中で少し気になった内容がある。それは画像が人間とコンピューター(AI)とがコミュニケーションをとる手段であると言うことだ。以前AIについてある程度調べたことがあり、その時医療や運転などの死に直結し得ることに関する判断をAIがすべきかを考えた。そして、人間の倫理的な思考、AIの理論的な思考を合わせるべきだと結論付けた。また、それにはAIと人間とのコミュニケーションの必要性に気がついた。そのため、今回の画像とコミュニケーションについて考えてみたいと思った。
(武蔵高等学校 R.O.)