2023年11月5日(日) 研究力発展コース アントレプレナーシップ講座第2回目を実施しました。

 静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)では、研究力発展コース(第3段階)の受講生を対象に第2回目のアントレプレナーシップ講座を実施しました。会場は静岡大学静岡キャンパス理学部大会議室です。今回のテーマは「アントレプレナーシップワークショップ 〜研究成果を社会に送り出す〜」です。

 FSS研究力発展コースに進んだ受講生は、現在静岡大学内の各研究室で研究活動を続けています。その研究成果を社会に送り出す手段の一つは学会や論文で発表することで、既に何人かの受講生が外部での研究発表を経験しました。そして、科学研究を社会実装するもう一つの手段は、社会の課題解決のために商品やサービスを作り出すことです。受講生たちは9月18日に「アントレプレナーシップ入門 〜起業家の行動様式〜」(浜松ホトニクス株式会社で実施)で学んだことをモデルにして、自分たち自身で起業プラン作成に挑戦します。この活動では、プラン作りの過程での議論が自分たちの研究や今後のキャリア選択に対するフィードバックとなることをねらいとしています。

 今回は受講生たちへの助言者として、5名の方々に講師としてご協力いただきました。
 Aチーム講師:株式会社サンファーマーズ        稲吉正博氏
 Bチーム講師:スター精密株式会社           出野勝也氏
 Cチーム講師:株式会社イシダテック          石田尚氏
 プログラムへの助言:公益財団法人 静岡県産業振興財団 西沢良和氏
           公益財団法人 静岡県産業振興財団 兼子知行氏
 いずれも企業の事業開発や経営の専門家の皆さんです。

 受講生は3つのチームに分かれ、活動の前半は事前課題の発表です。ひとりひとり自分の研究を社会実装するアイディアをチーム内で発表しました。発表の後、講師からの質問に答えます。

【Aチーム】
 Aチームは動物や植物の研究をしているチームです。動物や粘菌の生態を生かしたサービス、食べやすく改良した野菜などの提案がありました。講師は高糖度トマトを開発している会社の経営者です。事業を稼働させるうえでの継続性、どのような生物を資源として商品やサービスを作り出すのかが議論されました。

Aチーム講師の稲吉氏。生物を研究テーマにしたメンバーが集まる。

【Bチーム】
 Bチームの構成メンバーが扱っている研究テーマは機械工学、昆虫の生態、ナノテクノロジーなど多岐にわたっています。それだけに、多様な視点からどのようなアイディアを生み出されるのかが注目されるところです。講師は精密機械の会社で事業開発を手掛けています。高校生の考えたプランについて、誰が使うことを想定したものか、そのプランで生み出される価値は何なのかが議論されました。

Bチーム講師の出野氏。メンバーの研究テーマは様々。うまく一つにまとまるか、議論が続く。

【Cチーム】
 Cチームの構成メンバーは同じ高校の科学部でチタンを研究対象にしています。研究は先輩から引き継がれ、自分たちも大学に通いながら成果を出しつつあります。講師は最新テクノロジーを使ったオーダーメイド機械を製作する会社の経営者です。提案されたプランに対して、講師からはなぜその材料を使うのか、その提案でどんな困りごとが解決できるのかなどの質問がされました。

Cチーム講師の石田氏。メンバーはチタンの研究グループ。

 活動の後半は、次回(12月16日実施予定)に向けた準備です。まずどの提案を土台に起業プランを設計するかを決めます。さらに、起業に結びつけるためにどんな情報を収集したらよいかを検討し、次回までの役割をチーム内で分担します。

【Aチーム】
 Aチームは水生生物を使った水質管理のビジネスを提案することにしました。メンバーが持ち帰る課題は、水生生物の継続的で安定した入手方法、コストなどです。また、水質に応じた生物の変化をどのように検知するかも大きな課題です。改めて、実験データを洗いなおす必要がありそうです。

Aチームリーダーの下で、次回に向けた役割分担を話し合う。

【Bチーム】
 Bチームは昆虫の糞を肥料として使うビジネスを提案することにしました。プラン作りには日本の農業の実態を調べる必要があります。また化学肥料など既存の肥料と比べた時の優位性を見出さなければいけません。現在の日本の農業の課題解決に向けて、どのようなストーリーが描けるかが楽しみです。

Bチームリーダーの提案を土台に、起業プランの方針を立てる。

【Cチーム】
 Cチームはチタンを酸化し着色する技術を用いて商品またはサービスを提案することにしました。プランづくりには需要やコストも考慮されなければいけません。それ以上に、自分たちの技術で作られたものはどんな価値を生み出すのか、そのことはチタンでしか実現できないのか、研究のスタート地点に立ち戻って考える必要が出てきました。

Cチームリーダーの下で、自分たちの研究テーマの強みを探る。

 FSS研究力発展コースで高校生たちが取り組む研究の多くは、ある現象に素朴な興味や疑問を持って始めた研究、身近な生き物を観察することやものづくりが好きという理由で始まった研究です。しかし講師の皆さんから飛び出す質問は、今まで考えてもみなかったことばかりでした。それに明確に答えるためには、自分が取り組んでいる研究のバックグラウンドを理解することや研究成果に対する深い考察が必要です。受講生にとっては、これまで約1年間にわたって続けてきた研究を、改めて別の視点から見る機会になったのではないでしょうか。

 3つのチームの起業プランは、12月16日(土)に、今回お招きした5名の講師の皆さんの前で発表されます。

<今回の講座に協力していただいた方々のご紹介>
株式会社サンファーマーズ 代表取締役 稲吉正博氏
https://aoi-forum.jp/members/3296/
スター精密株式会社 開発本部 事業開発部長 出野勝也氏
https://star-m.jp/
株式会社イシダテック 代表取締役社長 石田尚氏
https://www.ishida-tec.co.jp/
公益財団法人 静岡県産業振興財団
開発支援チーム 技術コーディネーター 西沢良和氏
開発支援チーム 技術コーディネーター 兼子知行氏
http://www.ric-shizuoka.or.jp/
公益財団法人 中部科学技術センター
http://www.cstc.or.jp/